GPS発信器による動静捜査は違法

人工衛星からの電波を基に位置情報を特定し、現在地や目的地までの道順を案内してくれるカーナビは、今や車を運転するとき欠かせないものの一つになっています。このカーナビは、GPS(全地球測位システム)を利用して開発されたものです。

警察でも、GPSの機能を利用した捜査が行われていました、例えば多くの都道府県にまたがる広域窃盗団の動静を把握するため、犯人の車にGPS発信器を装着して今どこに居るかという位置情報を手に入れるというものです。

GPS発信器による動静捜査は違法かどうかについて、これまでの裁判例でも、広域窃盗団に所属する被告人Aに対する事件では「GPS発信器による動静捜査は、強制処分には当たらないから、違法とはいえず、この捜査によって得られた証拠は法廷で取り調べることができる。」との決定がなされました(大阪地裁刑事9部平成27年1月27日決定)。

その一方、同じ窃盗団に属する共犯者Bに対する事件では、「GPS発信器による動静捜査は、対象者のプライバシー等を侵害する強制捜査に当たるから、裁判官の許可令状を得ないで行った捜査は違法であり、この操作によって得られた証拠は法廷で取り調べることができない。」と、正反対の決定がなされました(大阪地裁刑事7部平成27年6月5日決定)。

相反する2つの決定では、追尾対象者の車にGPS発信器を密かに取り付けて、その位置情報を把握する捜査が任意捜査の範囲と認められるか、それとも裁判官の許可令状を必要とする強制捜査に当たるかが、判断の分かれ目になっています。

そして,最高裁判所大法廷は平成29年3月15日の判決で、GPS捜査は個人のプライバシーを侵害しうるものであって,強制捜査に当たるから、裁判官による許可令状がなければ行うことができない旨の判断が示され、GPS捜査は違法であることが確定しました。

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